至福の追求:ジョーゼフ・キャンベルと神話学

神話学者 ジョーゼフ・キャンベル

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自分の無上の喜び、至福を追求してください

 

ボタニカル・インスピレーションのスイトピーにも出てくる「Bliss(至福)」。

日本語に訳しにくい言葉ですね……。

Blissの意味はもちろん至福ですが、日本語の至福はもっと気軽に「至福のひととき、コーヒータイム」ぐらいでも使えてしまうからです。

この言葉は、神話比較学の第一人者であるジョーゼフ・キャンベルの著書や講演でも頻繁に使用されたキャンベル氏の人生哲学です。6回シリーズで放送されたアメリカのテレビ番組「神話の力~ジョーゼフ・キャンベルとの対話」の中でも話されていて、90年代に日本のNHKでも放送されています。

神話にこれほどの力があったとは・・・と驚きの連続ですが、Blissを「無上の喜び、至福」と訳した番組の翻訳者の方に脱帽です。そう、至福だけでは足りないんです。。

当時、アメリカでも「楽しいことを追求したらいいんだね?オッケー!」と勘違いした若者もいたらしく、ジョーゼフ先生も「ブリスじゃなくてブリスターと言えば良かったですね」と冗談まじりのコメントを残しています。

 

この番組は、ジョージ・ルーカスが自分のスタジオで2年かけて撮影したのも頷けるほど濃密な内容で、「至福を追求する」とはどんなことかを教えてくれます。

ご本人が5時間近くかけて話しているものを要約するのは難しいですが、もしひとことでいうのが許されるなら、至福とは

「一瞬一瞬が神との出会いで、その神秘に触れる喜び」

のようなものではないかと思います。

 

Youtubeではvol.1が欠けているので、本もどうぞ。

 

p.s.

番組の中でも話されているネイティブ・アメリカン(シアトル首長)の話は絵本でも出版されています。うちにもあったような気がしたのだけど、幻だったのか見つからず。

「父は空 母は大地」の全文はこちらをごらんください。

アメリカは若い国なので神話がないのですが、ネイティブ・アメリカンの文化にアメリカのアイデンティティを求めることがあるそうです。ひと昔前のヒッピーカルチャーにもそういう一面があったのですが、今はそれが文化の盗用と見なされることもあってなかなか複雑です。